言葉だけで想像させるには?

先週の金曜日も元気に「文學倶楽部」を開催いたしました!

 

今回のテーマは、「言葉だけで想像させよう」でした。

 

文章は言葉だけを使います。

映像や写真がない中で、どうやって目の前のことや起こったことを伝えるかを一緒に考えていきました。

 

まずは、目の前に鉛筆を置き、「これを説明してください」と。

考え方として、

 

①それが何であるか

→鉛筆、字を書くもの、絵を描くもの

 

②それがどんな状態のものか

→丸い、黄色い、細長い

 

③周りの環境はどうか?

→カウンターの上にある、無造作に置かれてる、周りには何もなくぽつんとある

 

という3つを出し合いました。

 

これらをもとに、①~③の中からそれぞれ1つ以上を選んで文章に取り入れてもらいました。

そして説明が書けたら、ここから「描写」へ。

 

説明が「A=B」を簡潔に言い表すものだとしたら、描写は「A=B」の中にたくさんの「どんな?」が入ります。

 

例えば、「これは鉛筆だ」→【どんな鉛筆?】→「これは黄色い鉛筆だ」→【どんな黄色?】→「これはちょっとくすんだ黄色をした鉛筆だ」→【さらにどんな鉛筆?】→「これはちょっとくすんだ黄色をしていて、芯の先が丸まっている鉛筆だ」という風に、「どんな?」を繰り返していくといった感じ。

そして特徴をあげつらうだけではなく、文章も整えていきます。

 

「これはちょっとくすんだ黄色をしていて、芯の先が丸まっている鉛筆だ。カウンターの上に置かれている。」

 ↓

「黄色い鉛筆がカウンターの上に置かれている。黄色い体はちょっとくすんでいて、芯の先は丸い。よほど使い込まれているのだろう」

といった感じです。

 

「伝わる」ということは、「読者が想像できる」ということ。

読者が想像してくれることこそが、読むことで起きるクリエイティブだと僕は思っています。

そのためにも、難解な言葉や感じは使わず、簡単な言葉を選ぶよう心がけましょうということをお伝えしました。

 

そして、想像させる天才として寅さんを挙げ、『男はつらいよ 拝啓車寅次郎様』の名シーンの1つ、寅さんが満男に鉛筆を売るシーンを皆さんと鑑賞しました。

 

鉛筆を売るために、寅さんは機能が優れているとかそういうことは言いません。

「鉛筆を見るとお袋のことを思い出すんだ」と言って、相手を懐かしい日々へと還らせます。

この鉛筆があった時代、こんなに良かったよね、思い出があるよね、ボールペンの方が便利でしょ、でもね、やっぱり握り心地が違うよ、それにほら、こんなに鉛筆への思いがみんなあるじゃない、と誘っていくのです。

そしてうっかり小銭を出してしまう。

本当に見事な口上。

鉛筆の良さを分かってもらうために、思い出話をする。

これも立派な、文章を書く上で役立つ「想像させる力」、「そのものの魅力を伝える力」と言えます。

生徒さんたちも、寅さんの口上を聴いて、「お見事!」と拍手しておりました。

 

 

文學倶楽部は毎週金曜日に開催しております。

品川区中延のザピンクエレファントというカフェで13時からです。

参加してみたいという方は、ぜひお気軽にご連絡ください。